製品案内
海底ケーブル用光ファイバー
保護異形線
累計400,000km(2023年2月)
地球 約10周分の光海底ケーブルに使用されています。
この光ファイバー保護異形線は、最大水深8000m、800気圧に達する高水圧に耐えるだけでなく、船の錨や魚網、サメなどによるケーブル切断も防ぎます。万一海底で事故が起こってもケーブル内への海水の侵入を100m以内で阻止します。
最高技術の集合体
高速で大容量の情報を、外部にもらすことなく確実に伝達できる光ファイバー通信ケーブル。
海底をはじめ、地中や空中などに敷設されるケーブルの中心部で、ナミテイの鉄3分割個片、鉄6分割個片が活躍しています。
世界をつなぐ最先端
遠くの人とリアルタイムに話がしたい。多くの情報をすばやく交換したい。人々の夢を叶え、一人ひとりの世界をもっと拡げてゆく光海底ケーブル。ナミテイも多くのプロジェクトに参入し、最先端技術で地球規模のコミュニケーションネットワークに貢献しています。
過去、弊社事業内容がNHK・プロジェクトXにて取り上げられました。
「太平洋1万キロ 決死の海底ケーブル」(2003年2月18日放送)
プロジェクトX挑戦者たち
開発秘話
扇形の断面を持つ細い鉄線が直径2メートルのドラムに少しずつ巻き取られていく。この鉄線を三つ組み合わせると、見事に外径6ミリ、内径3ミリの鋼鉄製のチューブになる。海底に沈める光ファイバーケーブルに不可欠なこのチューブを作れるのは、日本では大阪府東大阪市の特殊鋼鉄メーカー「ナミテイ」しかない。
もともと釘(くぎ)を作る町工場だった。旧社名「浪速製釘」。しかし、鉄業界の不況の中で、釘だけではとても経営が成り立たない。昭和50年代には、断面が異形の鉄材料にねじりを加えたり、断面を四角くするさまざまな加工をして「異形線」として売る特殊鋼線メーカーに脱皮し、「図面に書けるものならなんでも作る」をキャッチフレーズに技術を蓄積してきた。
「鉄冷え」といわれる不況の真っ只中の1984年(昭和59年)、まだ「浪速製釘」だった同社に東京の鉄鋼商社から注文が入った。
「パイプを縦から三つに割った扇形異形線をつくってほしい」
数日後送られてきた図面を見て村尾社長は驚いた。そもそも扇形の鉄線など初めての注文。おまけに誤差はプラスマイナス千分の五ミリ以内にしてほしいという。
業界では当時、誤差は十分の1ミリ程度が常識だった。常識破りの精度を要求し、しかも長さが1000メートルもあるという。納期はわずか二週間後の指定だった。
村尾社長は即座に商社に電話した。
「これはできない。むちゃな条件だ」商社の社員がその言葉をさえぎるように「図面に書けるものなら何でもできるといったでしょう。こっちはもう注文を受けてしまった。やってもらわないと信用にかかわる」
村尾社長には、扇形断面の鉄線が何に使われるか分からなかったが、そこまで言われたのではプライドが許さない。納期の最後の三日三晩は徹夜をして仕上げた。
しばらくして同じ商社からまた注文が入る。
「同じものを作ってほしい。今度は三千メートル」
いったい何に使うのか。疑問に思いつつも仕事を引き受けた。「なぞ」が解けたのは納入した異形線にゴミがついてるとクレームがきたためだ。製品を見にいくと、異形線は光ファイバーを包んでいた。極秘で始まろうとしていた巨大プロジェクト「第三太平洋海底ケーブル」の研究ケーブルだったのだ。
KDDなど数社が事業主体となり、海底8千メートルに光ファイバーの通信ケーブルを走らせる遠大な計画。深い海の底の水圧から光ファイバーを守るには、異形線で包みこまなければならなかった。
注文はさらに続き、そのたびに異形線の長さは6千メートル、1万メートルと延びていく。最終的には長さ55キロメートルの継ぎ目がない異形線が必要だという。当時の設備や材料では文字通り「無理な注文」だったが、巨大プロジェクトと知れば、村尾社長の意気込みも違う。製造機械は自分で設計し、約三億円の費用をかけて作った。鋼材の材料開発は新日鉄に依頼した。
新日鉄は当初、「お宅のような小さいところが国家的なプロジェクトに入って大丈夫なのか」と首をかしげたが、それでもなんとか協力してくれた。
86年春、延長55キロメートルの扇形鉄線の試作に成功すると、工場は「ばんざい」の大合唱が響き渡った。
約八千九百社もの中小企業が集まっている東大阪市。商工会議所が「東大阪市の技術を集めるとロケットだって飛ばせる」と豪語するほど、自分たちの技術力に対する誇りが高いこの町の特徴はオンリーワン企業が多いことだ。よく比較される東京・大田区が加工技術では東大阪市の上を行くとされているのに対し、東大阪市の方は自社製品を持つ企業の割合が高い。
「千分の1ミリ」の加工ができるメーカーの数は大田区が東大阪市の二倍以上もある。逆に「自社製品」を持つメーカーは東大阪市が大田区の二倍。大田区は精密機器、化学メーカーと取引に特化する傾向が強く、下請けの系列化の度合いが高いのに対し、東大阪市は比較的、系列化されていない自立型の企業が多いといわれる。
自立型企業の業績に左右されにくい、それがいま、東大阪市の企業群の強みになっている。ナミテイの成功も、系列に入らず、技術の独自性を発揮した結果といえる。フッ素樹脂コートのボルト、ナットを開発して米国の石油メジャー、エクソンからの受注に成功した竹中製作所も自立型企業の好例だ。
「東大阪市では隣の工場が世界一を狙ってる。分からないことは、近所にいる業界仲間から聞けば、なんとかなる」
村尾社長は自信をもってこう断言した。
産業経済新聞より